一人旅

セルビアン・フィルムの一人旅のレビュー・感想・評価

セルビアン・フィルム(2010年製作の映画)
3.0
スルジャン・スパソイェヴィッチ監督作。

その残虐性で一時期話題となった南欧セルビア発のハードゴアスリラーで、ファミリーで鑑賞してはいけない映画の筆頭作品です。

セルビアで妻子と暮らしている元ポルノ男優の男:ミロシュは、多額の報酬に釣られて謎めいたポルノ映画の仕事にありつくが、実はその映画は常軌を逸した過激な演出を売り物にしたものだった…というお話で、金欠を理由に謎のポルノ映画に参加した男を待ち受ける急転直下の生き地獄を描いたスリラー映画です。

兎にも角にも、観客の予想を超えた残虐過激な性描写&暴力描写に開いた口が塞がらなくなる作品で、小さな子供(産まれたての赤子まで…)をも容赦なく犠牲にするという倫理観度外視の過激描写は、日本映画やハリウッドでは絶対に作れない代物となっています。アブノーマルの極致の世界に足を踏み入れた男のエスカレートする行為の数々をひたすら垂れ流していて、本作に対する作り手の意図を推し量ろうにも、目を覆いたくなるような凄惨な光景のインパクトが強すぎて観客から考えることを放棄させます。

映画ファンにとっては普段はなかなかお目にかかれないセルビア映画を体験するまたとない機会ではありますが、こういった明白な際物しか市場に出回らないこと自体がセルビア映画産業の成熟度&発信力の低さを逆に露呈してしまっている気がします。
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