半兵衛

越境者の半兵衛のレビュー・感想・評価

越境者(1950年製作の映画)
4.0
ふるさとシチリアの鉱山が閉鎖され、生活が苦しくなった村の人たちはある男からフランスに行けば楽な生活が出来るぞと口説かれ、男の案内のもと違法に国境を越えようとするが…。

詐欺師であった男に大金を巻き上げられ、自力でフランスに行こうとするも警察に捕まったり、ある農園で仕事にありつけたと思ったらスト破りと勘違いされて迫害されたり、何人か途中ではぐれたり脱落したりと過酷な道行きにも関わらず、目を背けず明るく前を向いてフランスを目指す主人公たちの姿に目頭が熱くなる。特にラスト、雪山を越えて国境を目前にして国境警備隊に見つかっても堂々とフランスに行くことを語る主人公たちの凛とした姿に泣きそうになってしまった。

ピエトロ・ジュルミ監督はサスペンス描写も巧みで、先に書いた様々な出来事をスリリングに演出して見る人をハラハラさせ見る人の目を釘付けにさせる。後半に怪我をした子供のためヒロインが医者に行こうとするとき、よそ者と迫害する村人の視線を受けながら歩くシーンなんかその緊迫感に思わず息を呑んだ。
半兵衛

半兵衛