映画記録

黒い潮の映画記録のレビュー・感想・評価

黒い潮(1954年製作の映画)
3.5
1949年に発生した「下山事件」をモデルにした井上靖の小説が原作。1954年山村聰監督主演で映画化。同時代の世相、風俗、景色に引き込まれる。
冒頭から列車に飛び込む総裁とそれを見ていた住民のシーンから始まり明確な自殺説を取る。映画の主張は以下のとおり。
他殺説は興味を引くためのマスコミのでっち上げで唯一毎日だけが自殺説を取りジャーナリストの良心を守った。しかし左翼の犯罪に仕立て上げたい勢力が警視庁の自殺説発表を阻止したというもの。

しかしその後、色々な証言や証拠も出てきて未だ決着はついていないが私は他殺だと思う。松本清張はGHQによる謀殺説。柴田哲孝はGHQによる謀殺ではなく、国粋主義団体の利権絡みによるもの、GHQは結果の政治利用説。

事実として警視庁は、迷宮入りを発表しながら雑誌に自殺説をリーク。すなわち権力の側は自殺説で片付けたがった。犯人探しをしてほしく無かった。
井上靖もこの映画も一杯食わされた可能性がある。
映画の中の物証や聞き込みの裏とりなど調査報道にしてはは雑な感じがする。結論ありきのストーリー展開。

もう一つのテーマ山村聰の妻が駆け落ち自殺、心の内について苦悶。妻は自分を愛していたとの都合良い結論にした。
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