映画記録

麦秋の映画記録のレビュー・感想・評価

麦秋(1951年製作の映画)
4.0
ラストシーンは大和の耳成山をバックに初夏の麦畑(麦秋)の中を進む花嫁行列。それを眺める、鎌倉から隠遁してきた老夫婦。これは見たくて鑑賞。鎌倉も良い。

笠智衆が若い。親の役ではなく兄の役で出ている。声で笠智衆と分かった。この一家は戦後6年なのに、いい暮らしをしている。庶民ではない。会話の中でコーラなども出てきてびっくり。

1951年の映画であるので、町並み、電車など古いのだが白黒映像で現在でも通用する。
違うのは、家族感=親に孝行する、見合いは当たり前、婚前交渉などもってのほか。また戦争、戦死の家族がどこにでもいたという時代。
そんな時代の中でも自覚的に結婚相手を決める紀子(原節子)と、兄や親とのギャップを描き、最終シーンは、いつか子供は去っていくという悲しみを描いていると思った。
現代ではこの映画は作れない。結婚は個人の自由、大家族は希少価値、親も子に求めない。老後を自由に楽しむ時代だから。さみしいと思うのは、体の自由が効かなくなって介護が必要になったとき。こんなストーリーになる。
が、人間の心情はそんなに変わらない。ラストは同じ情景かもしれない。
映画記録

映画記録