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黒い潮のyaaaのレビュー・感想・評価

黒い潮(1954年製作の映画)
4.0
激渋ブン屋映画。
国鉄三大ミステリー事件の1つ、国鉄総裁が列車に轢かれた?!の「下山事件」のスクープ合戦を描く。
日本版「大統領の陰謀」みたいに淡々と世論が喜ぶ・飛びつく記事でなく新聞の売り上げに影響あるかもしれないが地味な真実のみを記事を書こうとする記者たちの仕事ぶりをロケかよと思うような重厚なセットの中、クーラー代わりの氷柱や子供のお茶汲みなんか配置して「リアルやなあ」と思わす細部もいれこんでみせる。デスクのダンディなオッサン山村聰(主演もして監督までしてクリント・イーストウッドかよ!絶賛)をはじめて記者たちに多彩な顔ぶれ配して飽きさせない。新聞社での背景の人の動きを絶えさせない画面もなかなかよくて緻密さがギッチリ詰まってる。
最初の国鉄総裁の列車に飛び込むカット(この映画は自殺説です)が自然すぎて驚く。
頑なに事実のみを記事にしていくことで新聞社内で孤立していく主人公の内面にも迫り、男としてどうなのよ!と思うところもあるが分かりやすい。
真実に迫ってもそれが握りつぶされる権力の闇を感じさせるラストがビター。
演出部が強烈で鈴木清順さんにイマヘイ、浦山さんと。
新聞社でのガヤを動かしていたのは今村昌平監督なのかと思うと重厚さ増す。
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