ユースケ

ライフ・アクアティックのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

監督のウェス・アンダーソンが少年時代に熱狂したドキュメンタリー映画【沈黙の世界】の監督であり、アクアラングの開発者であるフランスの海洋冒険家ジャック=イヴ・クストーにオマージュを捧げた本作は、海洋探検家でドキュメンタリー映画作家のスティーヴ・ズィスー船長(ビル・マーレイ)が、世界中から集まった海を愛する仲間たちと共に、親友の命を奪った謎の巨大生物ジャガー・シャークを追い、世界の海を駆け巡る血湧き肉躍る海洋冒険活劇…ではなく、がっつり厨二病のスティーヴ・ズィスー船長とちょっぴり天然の船長の息子を名乗る青年ネッド・プリンプトン(オーウェン・ウィルソン)による親子のような友情を描いたオフビート・コメディ。

ポップな色使いとシンメトリーを多用した作り物っぽい映像、ブラジル人クルーのペレ・ドス・サントスが弾き語るボサノバ調にアレンジされたデヴィッド・ボウイの名曲、実物大のカッタウェイモデルで作られたアリの巣のような調査船ベラフォンテ号、ストップモーション・アニメの巨匠ヘンリー・セレックが作り出すオモチャみたいなUMA(未確認生物)など、みどころ満載。
ジャック=イヴ・クストーの無線付きヘルメットに対抗してスティーヴ・ズィスー船長が開発した音楽が聴けるアンテナ付きヘルメットを装着してノリノリで踊るシーンと【バッカルー・バンザイの8次元ギャラクシー】へオマージュを捧げた調査船ベラフォンテ号のクルーが全員集合してGメン歩きするシーンは必見です。

個人的には、スティーヴ・ズィスー船長に思いを寄せるホモホモしくてお茶目な副司令官クライス・ダイムラー(ウィレム・デフォー)が最高。
「俺についてくる奴はこの線をまたぐな!」という船長の紛らわしい言い回しを勘違いして線を越えちゃったり、船長とネッドがケンカすると笑顔になっちゃったり、チーム分けでいつも船長と同じチームになれなくて「ありがとう!俺を選んでくれなくて!」とスネちゃったり、もうたまりません。

ユルユルなのに何故か泣けるウェス・アンダーソンワールドをお楽しみ下さい。