IT坊や

ライフ・アクアティックのIT坊やのネタバレレビュー・内容・結末

ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

ウェス・アンダーソン作品。

明らかに作り物の魚、馬鹿げた赤い帽子、役に立たないイルカ…。ウェス・アンダーソンらしい絵作り満載で、独特の雰囲気が楽しい映画でした!

ただ、本作はそうした魅力的な雰囲気を持ちつつも、それに伴う違和感がかなり強い作品という印象があります…。
例えば、主人公ズィスーのキャラが中々やばいです。機械を盗んだり、悪態をついたりするのはコミカルで許せるんですが、離婚の危機に瀕しながら妊婦を口説こうとする姿勢は素直に気持ち悪かったです。

また、息子(?)とも、親子でありつつ、恋敵でありつつ、スポンサーでありつつとこれまた不思議な関係性なのですが、これも「なんか奇妙だな」くらいの印象しかありませんでした。2人の絆は物語の核だと思うのですが、そこがあまり伝わってこなくて残念でした…。

個人的な見解としては、こうした不満はひとえにギャグ描写の不足が原因かなと思っています。
ウェス・アンダーソン作品の魅力は上述のような雰囲気と絵作りだと思うのですが、これはアンダーソン監督らしいギャグがあってこそ、戯画的に楽しめる要素だと思うのです。
そこの笑いが少ないと、どうしても奇妙さだけが目立つというか、変に浮くだけというか、魅力的に感じにくい作風になってしまうのかなぁ、、と感じています。

ただし、ラストのジャガーシャークとの邂逅はかなり良かったです!
ジャガーシャークの存在はとても神秘的で、息子や恋人、財産など、多くのものを失った登場人物たちの傷を全て癒してくれるようでした。哀愁的な雰囲気も素敵ですね〜!

以上、個人的にはあまりハマりませんでしたが、独特の雰囲気のおかげで、最後まで観せる力のある作品ではあると感じました!
初期の作品のようなので、まだまだ進化の途中だったんだろなぁというのが、正直な印象です。
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