トムヤムクン

トスカーナの贋作のトムヤムクンのレビュー・感想・評価

トスカーナの贋作(2010年製作の映画)
5.0
2年ぶりくらいの再鑑賞ですが、あまりにも面白いうえにオリジナルと贋作=虚構という映画始まって以来の問題に対してのキアロスタミ監督の回答となっていて、ちょっとたまらない映画です。ちょっとした勘違いから熟年のすれ違い夫婦を演じる奇妙なカップル、イタリアの長閑な田舎町トスカーナをぶらぶらと散策しながら新婚夫婦の船出を祝ったり、本物の老夫婦から結婚生活のアドバイスをされたり、レストランのワインが不味いという夫?のケチから別れの危機に陥ったり…そんな風にしているうちに主役の二人がお遊びとして夫婦を演じているということを忘れそう。コーヒーハウスでのシーンが物語の転換点となりますが、それ以前にもキアロスタミ印の車を運転するシーンがあったり、映像としても最高でした。
夫を演じているジェイムズは家族に対して言う言葉と自分、仕事について言う言葉は違う、と怜悧に言い放ちます。二人の間での会話が英語とフランス語とで意図的に分けられているのは象徴的です。偶然知り合った他人と虚構を演じていくなかで、互いを理解し合う言葉を見つける過程。
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