スガシュウヘイ

隣る人のスガシュウヘイのレビュー・感想・評価

隣る人(2011年製作の映画)
3.0
親は必見の作品。

映画鑑賞後、
トークショーに来ていた刀川監督と
話の流れで、飲みに行くことになった。
映画を見たあとで、
その監督とお酒を飲むというのは
最高の贅沢だと思う。

そこでいろいろ聞いたのだが、
お酒を飲んでいたので、
大分忘れてしまった笑。
刀川監督は、映画監督というより、
その辺の酒好きのおっさんという感じだった。
(いい意味で)

一見、寝るまで働くという環境は、
労働基準法に違反しているようにも思うが、
実際にこの施設の平均勤続年数は10年以上で
(詳しい年数は忘れてしまった)
普通の法人よりだいぶ長いらしい。
それだけ辞める人も少なく、
労使トラブルなどもないようだ。

辞めた職員が担当していた子どもは、
大人になり、施設を出てからも
その職員の自宅まで
たまに帰省したりするらしい。
その子にとっては、
その職員こそが親であり、帰る場所であり、
故郷なのだろう。
職員も不満はない。

この施設で働く以上、
自分の家庭を築くのは難しいのだ。
施設の子と寝食を共にするあいだ、
自分の子どもをほったらかす訳にはいかないだろう。
そこは理解して働いているという。


ナレーションを入れるか入れないかは、
最後まで悩んだ、と言っていた。
個人的には、
ありのままの生活を見せたかったので
ナレーションは入れたくなかったそうだが、
周りのスタッフが反対したそうだ。
結局、
ナレーションなしという事になったが、
その結果、若干分かりにくい部分
(職員と子どもが引き離されることになった原因など)が
できてしまったことは、
監督も承知の上らしい。


児童虐待や育児放棄について。

私も親なので、
子どもを育てるということが
どれだけ大変か、わかる。

仕事がうまくいってないとき、
疲れて帰宅して、
子どもが泣き止まないと
ひっぱたきたくなる。
なんで言うこと聞けないんだ!
と苛立つ。
児童虐待のニュースは
子どもができる前より、
子どもができた今現在の方が、
むしろ、理解できる部分もある。
躾の度を越えてしまったこともある。
反省している。
私も未熟なのだ。
私が怒りを鎮めることができるのは
私の周りに、私を支えてくれる人がいるからだ。
私は単に運がよかったのだ。

今の時代、
たった一人で子育てをしている親も多い。
悩んでも、相談する相手がいない。
自分がそうなった時、
はたして子どもをしっかりと
守り抜くことができるだろうか。

保護者に問題があるというより、
環境に問題があるのだ。


私はひとりの親として
子どもに何ができるだろうか、
とよく考える。
私は大したことない平凡な人間なので。
英語は喋れない、楽器はできない、歌もうまくない、
絵も描けない、運動神経もよくはない。
うーん、平凡以下か。
父親コンプレックス。

しかし、
この作品をみて、
何ができるかわかった。

一緒にご飯を食べて
一緒にお風呂に入って、
隣で眠ればいいのだ。

それでいいのだ。
それが大切なのだ、
とわかった。

「光の子どもの家」の子どもたちは
ある意味では恵まれているのだ。