おもしろかった!
ただこれは私がヨルゴス・ランティモスに近づけた訳ではなく、ヨルゴス・ランティモスのほうが下界に降りてきてくれたからだろう。
凡人の私にとってもストーリーが追いやすくて見やすい。少なくとも“不条理さ”はあまりない。
登場人物たちは、皆しっかりとした欲望を持ち、策を練り、基本的には“自業自得”で落ちていく。
行動理念がわかりやすく、因果関係もはっきりしている。
薬を摘んできたのは私だ、としっかり女王に気づかせるアビゲイルのしたたかさ。
アン女王とサラの関係を知ったことを匂わせるアビゲイルに、すかさず空砲の銃撃で威嚇するサラの牽制。
余計なことをするなという脅迫にも近いメッセージ。
かくして宮廷バトルの火蓋は切って落とされた。
序盤から痺れるなぁ。
物語はわかりやすいが、その内に蠢くヨルゴス・ランティモスの天才性は健在。
これまた傑作だ。
公開:2018年
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:オリヴィア・コールマン、レイチェル・ワイズ、エマ・ストーン