スガシュウヘイさんの映画レビュー・感想・評価

スガシュウヘイ

スガシュウヘイ

(2023年製作の映画)

4.0

「みんなアホか」

劇中で曾呂利がつぶやいていたが、これが正にこの作品を表現しているなぁ。

とにかくみんなアホ。
戦国武将をこんな風に描いたら「不謹慎」だ。

でも、それが北野映画らしくて、私は結構
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ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

4.0

ウェス・アンダーソン!
私は『グランドブダペストホテル』を見たときから、勝手に「ポップなスタンリー・キューブリック」と呼んでいるんだけど、2012年の本作品にもその萌芽が見られた。
うっとりするほど完
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青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

4.0


ー 僕はアミに何か残せたのだろうか ー


18歳、淡い想いを、眩しい恋を。
36歳、柔らかな後悔を。


流れる車窓の風景をバックに二人が聞いていたミスチルの曲はなんだっただろう?と考えると、
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恋わずらいのエリー(2024年製作の映画)

-

ずっと前から小学生の娘が観たいと言っていた映画。ついにレンタルできたので一緒に見た。

ただまぁ、30代のおじさんは対象年齢ではないので、もう展開が痒すぎて見てられなかった。

痒すぎる。


娘はケ
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ピカドン(1979年製作の映画)

-

「苦しい」いう叫びすら溶かしてしまった
一瞬の閃光。

阿鼻叫喚とは、このこと。


日常から地獄まで、
移ろいゆくピアノの不思議な旋律。


平和を希求する紙ヒコーキ。


———-


お気に入り
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灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)

-

強烈なジャケットが印象的。

このシーン以外にも、逆さ吊りになったキリスト、光差す部屋、背後を走る蒸気機関など、監督のこだわりを感じる映像は枚挙に暇がない。

光と影のコントラストが鮮やかで、
これは
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大空港2013(2013年製作の映画)

3.5

ノーカット一本勝負、第二弾。
空港だけに、いろんな意味でぶっ飛んだ作品✈️


三谷幸喜すごい。
俳優も撮影スタッフも全員すごい。

前作『short cut』より、脚本も舞台も動線も複雑になっており
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short cut(2011年製作の映画)

2.5

山の中をワンカットで撮影しきった心意気は凄すぎる。
三谷幸喜、中井貴一、鈴木京香の熱い魂に感服。
汚れたり濡れたり転んだり、、、見てるだけで「お疲れ様です」って気持ちになる。

おそらくアドリブのセリ
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魔女の宅急便(1989年製作の映画)

4.0

魔女宅は、ファンタジーに見せかけて、実はわりと現実的な物語。
キキがホウキで空を飛ぶこと以外は、現実的な社会を描いている。

そして、キキは“魔女”というよりは、ひとりの“人間”として成長していく。
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川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

4.0

きゅうり、トマト、すき焼き、、
幸福のASMR連発。


「食べること」と「死を悼むこと」の大切さが伝わった。
父親を悼む山田(松山ケンイチ)。
子を失った島田(ムロツヨシ)。
未亡人の南(満島ひかり
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SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)

3.0

胸糞キモ映画。
しかし悲劇的なことに、これはドキュメンタリーなのだ。綺麗な世界の底で蠢く汚い欲望。


“12歳だけどいいの?”
→少女たちのこの質問は、12歳とこういう行為をするのは犯罪だけど、わか
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恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

3.5

「ラブロマンス✖️タイムループ」
王道ストーリーで誰もが楽しめる。

タイムループものではあるけど、
メインはラブロマンスになっており、
特に複雑な伏線もない。

「同じ1日が繰り返す」という設定だけ
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タイタニック(1997年製作の映画)

5.0

愛と死の物語。

本作は直線的に語られるのではなく、現代からタイタニックを回想する、という構成になっている。それによって、このラブストーリーがもはや「過去の遺物」であるということが最初から強調される。
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「男なんて同じ型の鋳物よ、しかも壊れてる」

—————


カウリスマキ監督を初めて見た人にこんなこと言ったら信じられないかもしれないが、おそらく本作は彼の映画史上、最も感情「豊かな」作品だったと思
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.3

本作を見ているとき、なんだか日本国憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活」という文言が思い出された。

これって、平山みたいな生活のことをいうのかな?
だとしたら、悪くないね、第25条👍


🚻
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.0

暗い画面で終始ずーっと展開し、
最後に光が差し込むカタルシスが見事。

この光は、太陽の光であり、
エリーにとっては未来への光であり、
チャーリーにとっては救済の光であった。


🐳🐳🐳


本作では
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

みんな大好きタイムループ映画。

いろいろ突っ込みどころはあるが、80分尺でこのストーリーならまぁまぁかなぁ。

🕊️🕊️🕊️


「このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」のルールだけで最
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

悪は存在しない、というタイトルで思い出すのは神学者アウグスティヌスの
「悪とは善の欠如である」という言葉だ。


全知全能のはずの神は、なぜ世界に「悪」を作ったのか。
この問いにアウグスティヌスは答え
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母性(2022年製作の映画)

3.0

高畑淳子の「義母っぷり」も凄かったが、
やはり一番凄いのは戸田恵梨香が放つ、母性ゼロ・体感温度ゼロの冷たさか。

ついでに言えば、色気ゼロ、幸福感ゼロで、見ていて痛い。


んー、そうだなぁ、でも本当
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8番目の男(2018年製作の映画)

3.5

8番、という番号は『十二人の怒れる男』でヘンリー・フォンダが付けていた番号なので、そこから引用したんだろうか。


『十二人の怒れる男』『12人の優しい日本人』が大好きな私は、韓国版はどんなもんか、と
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

「我は死 世界の破壊者」

ロバート・オッペンハイマーは、
戦争を終わらせた英雄か。
地獄の兵器の生みの親か。


彼の科学者としての本能は、人間としての心を凌駕した。

原爆実験は成功した。


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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.0

2024年に見る『AKIRA』は未来的でありレトロでもある、やはり魅力的な作品だ。
斬新かつ古典。

極彩色に退廃した街・ネオ東京。


言うまでもないことだが、メカデザインは圧巻で、音楽も素晴らしい
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レクイエム・フォー・ドリーム(2000年製作の映画)

4.0

この上なく悲劇的な物語。
心が絞られる、凶々しい鬱映画。
なのに映像はスタイリッシュで洗練されている。
この違和感に酔いそうになる。


まず、音楽がいい。
弦楽器のつんざくようなメロディが、人生の崩
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エデンの東(1954年製作の映画)

4.0

「愛なんて損するだけだ」 


伝説の俳優ジェームズ・ディーンのデビュー作。ジャケット見ればわかるが哀愁たっぷりである。
てか哀愁たっぷりの新人ってすごいな笑。


—————


父から愛されたかっ
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.5

正義と悪が混在する街「ゴッサム」のノワール感が、やはり大好き。
今回も、終始ダークなトーンで犯罪が展開され、闇も深く、その中で正義を求めることの無力感に苛まれる。それがいい。

今回のヴィラン=リドラ
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Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

4.3

「お前がチャンピオンになって、俺が親分になったら、また会おうや」

🥊🥊🥊

北野武といったら『アウトレイジ』だよなと思ったけど、そうだやっぱり『HANA-BI』だったとこの前思い出して、でもやっぱ
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正欲(2023年製作の映画)

3.5

正欲とは。
正しい欲望、
正しい性欲、
正しくなりたいと願うこと、かな。


圧倒的に正しい人間・稲垣吾郎は、「正しくない人間」を許せない。


正しくない人間。
それは、万引きを繰り返す女。
学校へ
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ウォーリー(2008年製作の映画)

3.0

美しいアニメーションとストーリー。


大学生のとき見たときは何だか白けてしまった記憶があるが、ジジイになった今見返してみて、シンプルに楽しかった。


WALL・Eの造形がかわいい🤖
ほとんど単語し
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

きた!奇跡体験!

今までヨルゴス・ランティモスは、天才というより、何か“超越した価値観”というような感覚で楽しませてくれていたが、反面、何を暗示してるかわからない、という凡人の悩みはあった。

一方
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.0

おもしろかった!
ただこれは私がヨルゴス・ランティモスに近づけた訳ではなく、ヨルゴス・ランティモスのほうが下界に降りてきてくれたからだろう。

凡人の私にとってもストーリーが追いやすくて見やすい。少な
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.0

まだ何も起こってない時点で、不協和音が鳴り響いており、不吉な予感しかしない。

ただ、変な表現だけど、これが“心地よい不協和音”なんだよなぁ。
ヨルゴス・ランティモスが何をしでかそうとしているのか期待
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ロブスター(2015年製作の映画)

-

残酷コメディ。
戦慄ファンタジー。
不条理ロマンス。
いや、どんな言葉で形容していいのかわからん。

ただ、自分の価値観の外側にある映画ということは確かで、これをうまく取り込むことができれば私の審美眼
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

-

ヨルゴス・ランティモス初めて見たけど、確かにこれは天才なのかもなぁ。
ほとんどついていけなかった。こんなに置いてけぼりにされたのは久しぶり。
うん、たぶん天才なんだろう。

評価は保留にして、もっとい
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愛のむきだし(2008年製作の映画)

4.3

「聖」と「性」の波状攻撃。

クリスチャン、盗撮、パンチラ、マリア、教会、変態、神父、祈り、自慰行為、懺悔、罪の強要、女装、レズビアン、結婚、ベロキス、家族、お義兄ちゃん、新興宗教、のぞき、洗脳、拉致
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街の灯(1931年製作の映画)

4.0

- You ? -

この3文字がこんなに力を持つ瞬間があるだろうか。
ずっと暗い世界で生きてきた彼女に光を与えた紳士は、実はみすぼらしい男だった。

出会えた瞬間の、喜びと戸惑い。


一方で、チャ
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インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

カナシミの行動がよくわからん。なんで思い出に触っちゃうんだ。
かと言ってヨロコビも元気過ぎて好きになれない。もうちょっと落ち着いてほしい。

どっちかと言えば、私はむしろヨロコビの方が苦手。


ポジ
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