れんれん

隣る人のれんれんのレビュー・感想・評価

隣る人(2011年製作の映画)
4.0
ドキュメンタリーとは何か。
原一男のドキュメンタリーにショックを受けたのは、もう四半世紀以上前のことだが、作り手が「この事実を取り上げよう」というところから出発する点では一緒でも、そこから作り手の意図的な誘導が徹底的に削がれ、ある種、「児童養護施設日記」という構えを貫いているだけとも言える演出に終始し、それがゆえに観る者の胸に深く刺さる。それは、原監督とは真逆のアプローチ。だから成功している。
つまりは、とある事情でやって来た子どもの隣でたたずみ、怒ったり笑ったりして暮らし続けることの凄み、それに従事している人たちの信念が、この手法によって伝わるからだと思う。
感心するのは、子どもたちとカメラの距離。これほどまでに近距離を子どもたちが許しているのは、長い時間をかけた信頼関係の構築があってこそだろう。その点も信用できる作品。
被写体である子どもたち、関係者、施設は、すべてモザイクなどかけられず、むき出しで映されている。DVD化は絶対にしないということなので、上映される機会があったら、見逃さないことをおすすめする。
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