ガブXスカイウォーカー

ザ・シークレット・サービスのガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

3.9
名優クリント・イーストウッド(当時62歳)が、老いながらも不屈の精神で大統領を守るシークレット・サービス、フランク・ホリガンを熱演。フランクは鋭くて強いし、同僚のリリー・レインズ(レネ・ルッソ)を口説いたりするが、走ると息切れし、風船の割れた音を銃声と誤認したりもする。とにかく素敵なジジイだ。

大統領暗殺を企てる殺し屋ミッチは性格俳優ジョン・マルコビッチが怪演。ハゲで腹が出ているけど、元CIAの暗殺工作員で予算削減で解雇されたことを怨み、アメリカへの復讐を計画するキチガイだ。

ジジイ対キチガイ。二人の命がけの攻防戦がたまらない。フランクとミッチはまさに表と裏、光と影。フランクもまた一歩間違えばミッチのように国を怨む暗殺者になっていた。フランクは自分自身とも戦っているのだ。

思えば、強靭であったクリント・イーストウッドは今作より肉体的にも精神的にも弱い面も見せるようになったのではないか。苦悩するその姿は切なくもカッコイイ。今作は決してノーテンキな愛国映画などではなく、ジジイとキチガイに国家への信頼と不信を重ねて描いたサスペンス・アクションの秀作なのだ。