Satoshi

ギャングスター・ナンバー1のSatoshiのレビュー・感想・評価

4.7
とにかく主演のポールベタニーが凄まじい。ドッグヴィルのヘタレ青年と同じ人とは思えないぐらいの凶悪っぷり。
ギャングスターに憧れるならず者が、野望と暴力を武器に成り上がり、ついにギャングスターへ登り詰める。だけど・・・。
って話。ポールベタニーの30年後を、時計仕掛けのオレンジのアレックスを演じたマクダウェルが務める。
そもそも、この映画は思いっきり時計仕掛けのオレンジを意識してる。
アレックスのあの下まつげ付けて、斜めに覗き込むシーン、あれよりカッコイイシーンあんのかよってぐらいだけど、この映画でもベタニーの目の演技が決まってる。
目を見ろ。俺の目を見るんだって言う迫力が凄すぎて観てる方までブルってまう。
それにしても、この映画、ただのギャング物で終わらず、後半からは哀愁漂う展開になるのも素敵。疾走する野望、栄光、頂点、欲の全てを叶えても、憧れのギャングスターに届かない。
俺とあいつの何が違うのか。周りの人間が年老いて生気を無くす中、主人公だけはギラギラし続ける、だけど何もかもが足りない。嫉妬だけが胸を渦巻いている。
切ない青春映画だわ。
主人公にだけ名前が無いってのも効いてて良い。
彼はギャングスター。でも、誰でも無い。
エンディングの歌も染みる。
脇役から何まで、スタイリッシュに決まりまくってるクソカッコイイ映画。
とにかくスーツも小物も斧も拳銃も、どこにも隙が無くカッコイイ。
Satoshi

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