広川なつき

惑星ソラリスの広川なつきのレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
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こんなSFを原作にしててもやっぱりタルコフスキー監督の映画は良い意味で落ち着いて眠くなる。
しっかりした設定のある物語だからどうなるだろうと思ったけど、全体的な雰囲気がタルコフスキー監督らしくすごくぼんやりしてて、でもストーリーもちゃんとあって、その均衡が好き。
SF的な描写は全然厳密な感じじゃなくて、どちらかというとファンタジーっぽいところが見てて落ち着く。
原作の、無機質さが怖く感じられるところもちゃんと映画にあった。
夜の高速道路の時間感覚が不思議。

(追記)
あらためて観てみると、SF描写もかなりしっかりしてると思い直した。原作の設定とプロットの拾い上げ方がすごく的確。
確かに映像は一見ファンタジーのようで感覚的に織り重ねているように見えて(それだけでも良いんだけどそれだけじゃなくて)、そもそもソラリスの場合は原作の設定からして感覚と現実の区別は曖昧になっていくようなストーリーだから、結局は目に見えるそのままを現実として受け入れることになる。だからラストの異様な場面も現実に起こっていることとして見るしかなくて、それが怖ろしくグロテスクだけど好き。
広川なつき

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