ただのすず

赤い薔薇ソースの伝説のただのすずのレビュー・感想・評価

赤い薔薇ソースの伝説(1992年製作の映画)
4.1
愛と料理が溶け合う。

1895年、メキシコ革命頃のリオ。
末娘は結婚せず一生親の面倒をみる。
理不尽なしきたりに縛られたティタが恋をする。

台所で生まれ育ち、
家政婦に料理の手ほどきをうけたティタが持つ不思議な能力。

涙を流しながら混ぜたケーキで皆が嗚咽。
愛する人からもらった薔薇の花びらでソースを煮詰めると
姉妹がエクスタシーを感じて裸で走り出す。
怒りながら作ると食べた相手が死を迎える。

想い込めて料理すると食べた相手に感情が伝染する。
ユニークなマジックリアリズム。

「真実はひとつじゃない」というシーン。
事実をどれだけ忠実に再現したところで、
涙が止まらないほどの苦しみや
身を焼くような情熱を他者に伝えることは難しく無粋。
だから、こういう表現方法が生まれるのかなと感じた。

映像が全体的にオレンジ色
メキシコの太陽の光が照り返しているようで温かくて好き。

生クリームたっぷりの杏のウェディングケーキ。
赤い薔薇ソースと鶉。
出汁のきいた魔法のスープ。
唐辛子の緑、クリームソースの白、ザクロの赤が美しい
伝統料理のチレスエンノガダ。

以上が印象的なメニューでした。
情熱的におなかいっぱい。
ごちそうさまでした。