一粒万倍日

博士の愛した数式の一粒万倍日のレビュー・感想・評価

博士の愛した数式(2005年製作の映画)
3.9
第一回本屋大賞の受賞作品である小川洋子さんの小説『博士の愛した数式』の映画化だけあって、やはり着眼点やストーリーがとても良かった。

映画化に際して原作者とのトラブルが気になる昨今ですが、映画の能楽鑑賞シーンの客席に小川洋子さんが映っていたのが微笑ましかった。

交通事故による脳の損傷で記憶が80分しか持続しない元数学者「博士」と、博士の新しい家政婦である「私」とその息子「ルート」の心のふれあいを、美しい数式と共に描いているところが面白い。

博士がルートに会うたびに頭をなでて、「これはなかなか”かしこい心”がつまっている」とい言う。
前回の話した記憶が無くなっているので、毎回同じことを繰り返す。

良い言葉を繰り返していると現実になっていくんだな~と、その後数学教師になったルート(吉岡秀隆さん)の授業風景を通して感じた。

脳の一部が損傷しても「愛」は失ってなくて、それは数式だけでなく、人に対する「愛」であったり趣味の野球であったり。

また、博士の世話をする家政婦の「私」(深津絵里さん)の愛ある仕事を通して、博士の義理姉(浅丘ルリ子さん)も変わっていった。

「私」が「ルート」に素直に謝るシーンが好きです。

ルート先生の授業を受けた子供たちにも、数学「愛」が受け継がれていきそうな予感がします。

新聞のテレビ欄の午後ローでの放映予定(2/22の)を見て、アマプラで見ることにしました。ずっと気になっていた映画だったので、観れて良かったです!