<概説>
かつては名家に属した一人娘は、その人間運のなさ故に遂には夜鷹にまで身をやつしていく。他人に振り回されてきた彼女に救済はあるのか。『好色一代男』を原案とした溝口健二の代表作。
<感想>
溝口健二映画はそれほど鑑賞してないのですが、ふと。
もしや監督はいわゆるバッドエンド症候群なのでは。
たしかに物語に救済はあるのです。仮にトリアー監督あたりを比較対象としたら、まだまだ主人公は救われている方。
しかし『山椒大夫』にしろ『西鶴一代女』にしろ、率直な感想として、胸糞悪い展開がかなりあります。加えて演者の皆様が名演を披露するものですから、感情の揺れが尋常ではありません。
古典名作!
これぞ映画の妙!
そんな風に普段称賛していますが、いい意味でフランクな作品群であり、悪い意味で現代的というか。
王道名作黒澤!頑固一徹小津!偏屈性癖溝口!
脳内で割と失礼な賞賛をしてしまいます。
いい作品なんですけどね。
いい作品だからこそというか。