嘘をついているのか、本当のことをいっているのかわからないのは、佐村河内だけでない。森達也のカメラはやたら猫ばかりを撮るし、何回も繰り返し振舞われるケーキはどれも皆美味しそうだし、豆乳ばかり飲む佐村河内の姿は別にゴーストライター云々とは関係なく、アホだ。もっと頑張れば、新垣にもちゃんと接触できたのではないだろうか。
結局、森達也のカメラはあまり｢リアル｣ではないし、何も教えてくれはしなかった。
だが、あえてそうすることで、｢本当か嘘かわからない人を撮る、本当か嘘かわからないカメラ｣という構図が生み出される。
もっというと、シンプルに｢映画｣を楽しむ余裕を、我々に与えてくれたように思う。
バルコニーから外に出た瞬間の音、自分のことを扱ったバラエティ番組を観る佐村河内の目、そして、なぜか離れられない複雑な夫婦の愛憎...
もはやFAKEであるか否か、どうでも良かった。
