ことのは

トゥルーマン・ショーのことのはのレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
4.5
【世界中に放映中.知らぬは…】

生まれてから生活の全てを、世界中に『トゥルーマン・ショー』というテレビ番組として生放送されているトゥルーマンが、異変に気づき暮らす街から出て行こうとするお話。

めちゃくちゃ久しぶりに観たら、本当に良く出来た素晴らしい映画だった。

トゥルーマンが、異変に気付く照明が空から落下してくるシーンから、徐々に自分は見られている、町中の人の様子がどこかおかしいと気付きだし、暮らす街シーヘブン(街の名前シーヘブンのシーは、海/seaなのかな?トゥルーマンを、見る/see + 天国/heavenに感じる)から抜け出す冒険譚と、トゥルーマンを我が子を見守る様な眼差しでみつめるTVディレクター。

作り物のセットの街、5,000台のカメラ、トゥルーマンの生活を取り囲むエキストラ。

「もし、自分の生活がカメラに映され生放送されていたら?」

何かのはずみで思いつきそうなアイデアを、脚本・アンドリュー・ニコルがディテールの積み重ねで、見事な「作り物」=映画として完成されていて素晴らしかった。

TVに向かってトゥルーマンが叫ぶ、 

「頭の中にカメラはない!」

コメディ演技を押さえたジム・キャリーの戸惑いの表情が胸に迫る。

そして、新しい世界への出発を後押ししてくれる様なラストの、いつもと変わらぬトゥルーマンの一言が、代わり映えのしない日常を過ごしている、『トゥルーマン・ショー』を観ているこちら側に勇気をくれる。

「会えないときのために、こんにちは、こんばんは、おやすみなさい。」

そして、トゥルーマンは歩き出す。
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