レオピン

トゥルーマン・ショーのレオピンのレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
3.7
豪州のピーター・ウィアー監督。『ガタカ』のアンドリュー・ニコル脚本。

現実だと思っていた世界が、誰かによって作られたバーチャル世界だった。あの『マトリックス』と同年の製作というのも偶然ではないのだろう。

最後にドアを開けて、この世界の外へ出るってところで、『未知との遭遇』でロイが宇宙船に乗っていったようなカタルシスを勝手に期待してしまった。だが20年の時間は大きい。もはや扉の向こうも作りものなのだ。

その後のエンドクレジット前の「TVガイドどこだっけ」には笑ったが。
シリアスとコミカルをバランスしている印象だが、あまり強いシリアスには行かず。そこが自分としては不満に感じた所。

友人のマーロン役にノア・エメリッヒ。いい奴感が皮肉。
恋するローレン/シルヴィア役にナターシャ・マケルホーン。顔立ちが小雪似。あっ、『RONIN』のヒロインか。
先日見た『スノーピアサー』に続き、エド・ハリスが神。造物主の役どころ。ほんと困った神さまだ。


だけど観終わってから妙に気になる映画だ。

この映画、「地球平面説」と呼ばれる陰謀論者たちへ強い影響を与えているそうだ。中盤に出てくるドーム型の建造物。海を進んでいくと壁に突き当たる。あれだ。あれを本気で信じているそうだ。

こういう物語にある種の傾向を持つ人たちが強く反応してしまう。陰謀論者は世界中にいるが、それでもアメリカに圧倒的に多い。アメリカに特有の事情だ。トゥルーマン症候群と命名された症例も発表されている。

政府は何かを隠している。周囲の人間が団結して自分を騙している。テレビやラジオはさりげなく何かのメッセージを紛れ込ませている・・・・・・
かつて「MMR」を熟読し、大学ではUFO研究会にも属していた。まぁ、おかげさまでそういったものへの免疫はある方だが、、

これからも、ますますこの映画は参照されるかもしれない。批評的な関心は呼び続ける作品だろう。
多くの人が陰謀説に染まりやすい状況にある今だからこそ観ておくといいかもしれない。
レオピン

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