レオピン

幼い依頼人のレオピンのレビュー・感想・評価

幼い依頼人(2019年製作の映画)
3.6
フゥ~ またしてもしんどいものを見てしまった
見る際はくれぐれも自身の体調と相談の上で

あの髪をしばるというカットを挟むことでセンセーショナルな部分はおさえ気味かなと思ったが、やはりそこは韓国映画。直接的な暴力が圧倒します。

ニュースで目にする児童虐待 予兆サインは必ずあるのになぜもっと早く対処できないのか。その理由は冒頭、心理学史に残るある有名な出来事によって語られる。キティ・ジェノヴィーズ事件

虐待いじめや不正といったものの発見や報告が遅れてしまうのも近しい理由。<傍観者効果>
見て見ぬふりがどのようにして起きるのか。。

言われてみれば誰でも心当たりがある。決して褒められた行為ではないが、人はある条件下でそのような行動をついとってしまう。

私がやらなくても誰かがやるだろう 自分より近い人がきっと動くだろう マンション住民だったら、下の階にいる人は隣りの人がきっと~、隣り部屋の人は下の階の方がきっと聞こえているだろうから~、無意識に責任のなすりつけも生じる。

これらは人が多く集まる場所、群れる場所でこそ起きやすいというのがポイント。逆に言えば単独でいれば行動は起こしやすい。
緊急性がある時には、ちょい早とちり 少々おせっかい気味でも出来る範囲で素早く一歩を踏み出せることが何よりも重要。


ニート弁護士ジョンヨブにイ・ドンフィ(李東輝) 昔のメガネ男優No1はパク・シニャンssiだったが今ならこの人
姉にコ・スヒ 『吠える犬は噛まない』以来の すっかりあったかみのあるオモニキャラ
継母にユソン すごい さすがに『鬼畜』の頃とは違うよなぁ


主人公も担任の先生も決定的な過ちを犯してしまうが、それでも力を振り絞って行動を起こす。それは幼い姉弟と触れ合った時間、笑顔や匂いといった記憶、彼らへの愛着が成功を捨て去るまでの決断をさせた。

改めて良心というものを考えさせられる。一方でそんな良心がそもそもない人間がいることも思い当たる。彼らは反省どころか善悪という感覚さえ持たない。
この母親はサイコパスなのか

人口の4% どこの国社会にもいる。中には能力が高いものからそうでもないものまでいるが、この母親は大分わきが甘い方。
最後に法廷でキレてその本性を見せるが、本物もああいった開き直りをする。演技で同情を集めるのが得意で一見魅力的な人物が多いのも特徴。審理に入る前に弁護人から抑えるよう言われていたにも関わらず堂々と悲劇の母親像を開陳するところなどまさに
 
何より不快なのが実際の事件でも衝撃を与えた、子どもを犯人に仕立て上げるプロセス。飴とムチで加害者に変身させる。うっすらと北九州の事件や尼崎の事件の犯人たちと同じ操作系の匂いも感じる。

最後の字幕では年々件数が上がってきており、刑罰はそれほど重いわけではないという事実が示された。啓発モノといえるこういった映画で予習をしておくことはいいことだ。
周りの目がいかに大事か。内からのブレーキは壊れているサイコパスといえど外からのブレーキには一定の効果はある。

虐待いじめ支配といったものはどこでだって起きる。学校職場、人が集まるところではどこでも。そしてもし魅力的なサイコパスが中心にいたら破滅的な結果を呼び込むだろう。

主人公は聞く 「それでも人間か」

だがその問いはまったく無意味。社会には良心が機能しない人間が一定数いる。これは悲しい事実だ。


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