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トゥルーマン・ショーのyuiのネタバレレビュー・内容・結末

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

自分の人生が操作されながら、24時間放送でテレビに映っていることに気付かず陽気に暮らしている男。無数のカメラに監視され、気持ちを誘導されながら進む彼の人生は世界中の人々の間で「リアルな娯楽番組」として人気を博す。

トゥルーマンは月や海や天候、街の人々、自分の意思までも全てが偽物の、「トゥルーマン・ショー」のセットの世界にいたが、全く30年間気付かずに生きてきた。
私達も生まれた国、生まれた家を舞台として、誰かが作った景色、町並み、社会、システム、価値観のなかで生きている。誰かの思惑が反映された情報のなかで知らず知らずのうちに行動を操作され、他人の作った常識のなかで生きているのだ。
特に子供は親からの影響を受けやすい。しかも親というものは自分の価値観、人生観で子供を支配したがることが多くある。
本作では、番組プロデューサーのクリストフがトゥルーマンに対して「自分の価値観で子供をコントロールしたがる」親のような歪んだ愛情を持っている。


ラストで、長年テレビ越しにトゥルーマンを見つめてきた視聴者たちは彼に愛情のようなものを抱く故に「ショー」からの脱出、解放を願い見守るが、クリストフは歪んだ親心から、既に番組としては破綻しており続行が不可能な状態にも関わらず、彼がセットの世界から出ていかぬよう引き留めようとする。
彼への愛着が支配という形でセットの世界に閉じ込めてきた今までと、まっさらなこれから。
なんとも大規模な親離れであった。

彼は扉を開け虚構の水平線の向こうへと旅立つ。今度こそ誰かの意思ではなく、自分の意思と偶然の連続が導く未来を築けるだろうか。そもそもこの世界には、完全に自由な意思で生きる魂は存在するのだろうか。
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