上海十月

グッドナイト&グッドラックの上海十月のレビュー・感想・評価

4.0
この作品は、画面上で美しく煙がたなびきます。マローの品格を伺わせるがごとく。マッカーシーイズムの映画は、過去何回も作られている。その中でもこの作品は、出色の出来です。普通の映画なら、描きそうなマッカシー報道後の拍手や賞賛、非難、たわいのない会話を極力削り、マローの戦いに観客を集中させていく簡潔な脚本、もう唸るしかない。サントラの使い方も淡々と流れでしゃばらない。空軍がフィルムを検証したいと来た時、見せない姿勢を貫いたシーンは、日本のテレビ局が対応した事件を思い出してしまった。放送従事者は、社会と契約しているのだという観点が日本には欠如している。放送するものが責任と自覚がなければただの箱とマローは、指摘する。そして視聴者の利益と称して政治、経済、社会、芸能をごたまぜに放送し、安易なバラエティーによる現実からの逃避を目的にした今の日本のテレビマンに是非見て欲しい。社員教育に使って欲しい。(てんびんの詩のように)
上海十月

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