せびたん

悪魔の墓場のせびたんのレビュー・感想・評価

悪魔の墓場(1974年製作の映画)
3.5
本編のヒロインはちょっと綺麗な女の形をした厄災(悪霊)そのものではなかったかと。主人公の旅の途中に現れる彼女は、具体的な女性が表現されてたのではなく、そういう抽象的な存在だったような気がしました。

私はこういうベタな象徴性にとても弱くて、主人公が旅をしてるとたいてい人生の喩えだと思っちゃうし(笑)、ヒロインを守りながらゾンビ(的な何か)と警察という2重の敵と主人公は戦うことになるとかもう人生以外の何ものでもないよねって思えちゃうのです。

ヒロインと出会わなければ無事目的地へ辿り着き、古美術品?の取引ができていたのに。まあ人生なんてそんなものっちゃそんなものって気がしますが。

敵役の刑事の描き方もおもしろかったです。
主人公と刑事の対比は民衆と権力の対比であると同時に年長者と若者の対比でもあったようで。

そんなふうに何かと観念的?象徴的?な作品だったので、ぐっと心に迫ってくるものがありました。これはいい作品。ゾンビの造形もとてもよかったです。
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