ジョン

魔術師のジョンのレビュー・感想・評価

魔術師(1958年製作の映画)
4.3
ベルイマン作品の感想や解説で度々目にする「神の不在」というテーマについてようやく分かってきた気がする。医者たちは完全に神や宗教など非科学的なものを馬鹿にしているようで、その反対に超常的なものを商売にしている魔術師たちがいる。
当然魔術師たちの術や薬はほぼハッタリ。医者たちにもコケにされる。しかしそのハッタリによって人々は楽しむ。男女が出会い恋に落ちる。科学が進歩する中でそういった非科学的なものの意義を痛切に感じたし、一映画作家としてのベルイマンの芸術への想いがよく表れている気がした。
医者の下心や警察署長の傲慢さと魔術師たちの胡散臭さがバランスよく描かれているのも良かった。

全体的にひょうきんな雰囲気が漂っていて、おまけにどこかエロチックで、面白かったなあ。最後もそれまでのポロポロ優しい音楽が一転けたたましいラッパ音に変わり、明るくジャンジャン!!みたいな終わり方をしていて、好きだった。
ジョン

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