ヒダリ

オテサーネク 妄想の子供のヒダリのネタバレレビュー・内容・結末

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

き、キモすぎる…なんなんだこれは…
クラシックfeat.赤ん坊で始まる狂気のオープニングを経て始まるこの映画は、もう数えきれないほどの不快マシンガンを終始ブッ放し続ける。"息子"オチークのおそらく意図的にそう作られた不気味なストップモーション、映画前半の邪悪マセガキ倫理度外視セリフ集、ロリコンジジイの蠢き勃起、可哀想な猫、世界一マズそうな食事シーンの数々…こう生理的不快感を掻き立てる描写を挙げていくだけで博士論文が提出できるレベルだ。とにかく全てが不快。
印象的な箇所を全部語るとキリがないので一つに絞ると、結果的にオチ坊にまともな躾、真っ当な愛情を注いだ一番の"親"は邪悪マセガキだった点。最後の最後まで踏ん切りつかねー父、甘やかしタイプのモンペ母よりよっぽどママをしていた。とはいえ「最後の手段」として結局人は食わせる(当然のように候補に肉親含む)し、身近な現実が壊れていくことより御伽話のバケモノの方が大事なイカれ子供ではある。いや、一番キモいのはイヤなガキの子供らしさが最も色濃いのが、ある意味ではとても"無邪気"なこの育成シーンであるところなのかもしれない。
ラストはブツ切りで「え!?終わり!?」とつい叫んでしまったが、これで良いのだろう。モチーフは民話だが、どう転んでも元の話のように「めでたしめでたし」で終わるわけがない。言わばミロの不快ヴィーナス。きっちりケツが欠落していることによって、想像力が生み出す無限の不快を我々に与えたのだ。

個人的にこの世で最高の映画の一つだと思いました。
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