オリカ

ラブリーボーンのオリカのレビュー・感想・評価

ラブリーボーン(2009年製作の映画)
3.4
14歳の女の子が殺された後の、その家族や犯人、女の子のいる死後の世界などの話。

殺されてしまったことで、家族が少しずつ壊れていく。
殺されてしまったことで失った人生に対する犯人への怒り、無念の気持ちがよく表現されていた。

全体的によくまとまっているし、目を背けたくなるような残虐なシーンもなく、深く考えずに観れて良かったと思う。

女の子自身は殺されてしまったけれど、現世と天国?の間で自由に彷徨っていて、
非現実的な美しい場所で好きなように遊んだり、好きな状況を創り出して、
観ている側からするとなんだかとても幸せそうに見えるシーンもあって、ちょっと複雑な気持ちになったり。
(殺されてしまったけど、そこの世界、ちょっと羨ましいな…とか思ってしまった。)

だけど所々で遺された家族や自分を殺した犯人が現れる。
苦しんでる家族を目の当たりにすると、悲しくなったり絶望する。
よく言われているように、やはり亡くなった人からすると、遺された家族が幸せでなければ心配で成仏出来ないものなのかもしれない。




-------以下ネタバレあり-------


私はてっきり、どうにかして(霊的な力とかを駆使して)家族と交流したり、犯人を捕まえるように仕向けるものだと思っていたのだけど、そうじゃなかった。
(妹はかなり頑張ったのだけど、残念)

女の子がいかに穏やかな気持ちで成仏?できるか、家族がどう悲劇を越えていけるかというものだった。
正直、犯人にはそれなりの罰を受けてほしかった。
誰かが手を汚さなくても神様がちゃんと裁くんですよ、という意図があるのだろうけど、自分でうっかり転落して死ぬっていうのはちょっと…。何人殺してると思ってるんだ、、、と。

社会的には裁かれていないし、なんなら恐怖心もさほどなく、苦しみも少なそうな即死な訳で納得いかないかな…。
(私は未熟者なのでそう思ってしまう…笑)


あと霊的な力を持っている女の子、あまり活躍してなくて、もはや要らなかったのでは…と思うほど。
最後の望みを叶える為に憑依するためだけの存在だったのかな?
少女の遺体も永遠に見つからないままになってしまうっぽい終わり方だったし。
少女の霊?を感じとっているだけで、その事を誰にも話すわけでもないし、なんのための霊感なの……とどうしても思ってしまう。
(私は未熟者なので…)

ただ、それこそがリアルな現実なのかもしれない、とも思う。
変に誰かが犯人を捕まえたり、霊現象がバンバン起こったりもせず、
静かに家族が立ち直っていき、静かに成仏していく。静かに犯人の人生も終わる。
そういう意味ではとても納得できる。
オリカ

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