カトキチ

ブラッド・シンプルのカトキチのレビュー・感想・評価

ブラッド・シンプル(1984年製作の映画)
5.0
どの『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の映像化よりも『郵便配達は二度ベルを鳴らす』らしさに溢れたコーエン兄弟の処女作。ジェームズ・M・ケインは彼らのお気に入りらしく、それは『バーバー』でも再現される。

女性を主役にしたハードボイルドは『グロリア』のほうが先だが、制作自体は『ブラッドシンプル』の方が早かった。壁を突き破った弾痕から光が射し込むという映像はこのあと散々マネされるが、元ネタは44年に公開されたフリッツ・ラングの『恐怖省』という作品らしく(未見だが教えてもらった)、『バーバー』のオチのつけ方も含めて影響は大。

嘔吐やジメーッとした血、叫ぶキャラクターや、ロングショットの使い方など、コーエン兄弟のエレメントが勢ぞろい。サム・ライミとの付き合いがあり、一部シェイキーカムを効果的に使っているのもおもしろい。

登場人物の誰よりも観客の方が情報を掴んでるというのは『レザボア・ドッグス』に影響を与えたのかも。
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