カトキチ

ドライブ・マイ・カーのカトキチのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
5.0
傑作。成瀬、ブレッソン、ジャームッシュなど古き良き日本映画にヌーベルバーグからアメリカインディーズを体験させるサンプリング能力はもちろん、演出自体も彼らが得意としている説明やセリフを極力排除したやり方を使用(メールの文面を画面に無機質に出すのはゴダールっぽい)。

さらに「村上春樹 原作」というクレジットをいきなり出したり、あえて多言語+韓国手話を使うというグローバライズ飛び交う演技のディスカッション(そもそも多言語の舞台のプロジェクトを立ち上げ、その行為自体が映画が作り出されることであるという設定がうまい)原爆ドームや平和公園、SDGsや震災をチラつかせるなど、ソフトストーリーで海外で当ててやろうという商魂たくましい感じも気に入った。

地味ではあるが褒められたドライバーの女の子が照れながらワンコをヨシヨシしたり、タバコを車のサンルーフから出したり、岡田将生があることをするんだけど、そこをカメラで映さずにあとでのフリに使ったりと細かいシーンにエモーションやサプライズが混じってるなど何もかもレベルが高い。

ラストにあえて含みを持たせるなどホントに良い映画とはこうであるという見本を見せられたような気がした。何度も観たい。というか、どうもぼくは「喪失と再生」についての話しが好きなようである。

ちなみにコメリホームセンターやシーサイドライン、田園のなかロングショットで車が走り抜けるなど、新潟県人が驚くようなロケーションがある(というか、新潟でロケしてることを知らなかった)。そのあたりも注目して観ていただきたい。特に新潟県人は。
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