期待を裏切らない大傑作。監督の出自も含めなにわを舞台にした「パラサイト」と言いたいところだが、ぼくのイメージだとオチも含めて「ファーゴ」っぽいなとも思った。実話がベースだし（あとTBSドラマの「カルテット」もこんな感じだった）。ただ監督のインタビューによると元にしたのはイニャリトゥの「アモーレス・ペロス」ということで、なるほどと。
ある有名な事件が元になっているわけだが、それとは別に「氷点」や「こころ」などの文学な匂いも漂ってくるあたり不思議なバランスがある。葉真中顕の「ロスト・ケア」みたいな雰囲気もある。一緒に仕事をしたポン・ジュノからはあんまり参考にはならなかったそうだが、それもなんとなく頷ける気もする。そんな多面的な要素がある。
出だしのにらめっこで掴まれたが、まさかの伏線になってるとは驚いた。全体的には「何を探してたのか？」が答え探しになるのだが、2回観ると「あ、その答えは最初からあったのか！」と分かるあたりも憎い。もちろん解釈に幅があっていろんな人と話し合えるのも良い映画の証左である。
