いわゆる『椿三十朗』とか『飢餓海峡』とか『太陽を盗んだ男』的な誰もが文句のつけようもないくらいのエンタメ作品として極北。
保険金目当てで旦那を殺した疑いが持たれている前科4犯の女。世間やマスコミ、なんなら刑事にも「あの女殺してやりたいよ」と言われるほど嫌われてる女を民事専門の弁護士が弁護する。
ミスタリーと法廷モノのバランス、役者陣の鬼気迫る演技、『砂の器』と違いドライでデタッチメントな演出。さらに登場人物全員がうさんくさく、なんらかの感情があり、それこそタイトル通りの疑惑を持つという含みをもたせたラスト。解釈しだいではいかように持てる分厚いレイヤーなど良いところを言い出したら枚挙にいとまが無い。