Taka

髪結いの亭主のTakaのレビュー・感想・評価

髪結いの亭主(1990年製作の映画)
4.0
思うにルコント監督って、とても現実的な人なのではないだろうか?
『仕立て屋の恋』にしても『髪結いの亭主』にしても
あれほど夢を紡ぎ上げながらも、ラストで一気に崩してしまうのは、
監督自身がロマンティストであるにも関わらず、
夢を夢として終わらせる事の出来ない現実主義の故ではないか、
と勝手に解釈してみる。

通常、映画を観ている時には
たとえ作品中の特定の役柄に感情移入していても
自然と作品全体に目がゆき(当たり前だが)
他の登場人物達の心の動きも追って行く。
ところが今作は、ほぼ完全に「亭主」の視点からのみ描かれ
「女房」の心理状態を窺わせる情報を
意図的にシャットアウトしているのではないだろうか?
ある日いきなり自殺されたり、離婚を言い渡されたりして
驚かされるというのも、現実世界では良くある事。

そう考えるとこの作品も「思いっきり現実」なのかも知れない。
あまりにも現実的であるが故に、非常に居心地が悪い、
という感想だったり。
Taka

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