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髪結いの亭主のanonのネタバレレビュー・内容・結末

髪結いの亭主(1990年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

なんと言っていいのか難しいけど、いろんな意味で思っていたのと違っていた。

ずっとうっすら気になっていて、いつか機会があれば見てみたいと思っていた作品。

最初は、例えばだけど、病院とかバス停とかどこかで、見た感じでなんとなく気になった知人でも何でもない初老の男性をぼやっと見ていたら目が合ってしまい話しかけられて、身の上話を延々と聞かされているような気分になった。個性的だけどあまり名前が入ってこないからwikiで探した主人公の名はアントワーヌ氏。

ちょっと退屈な身の上話な上に性的な話が多くて、こちらに何かとかじゃないけど話している内容が無自覚にセクハラなおじさんめいてるから何を見せられているんだろうって気持ちになってもういいかなと思いつつ、画と雰囲気は好きな感じなのと、やっぱり最後まで見ないと結局どんな話だったのかなって気になりそうで、ちょっとがんばって続けて見ていたら、マチルドが出てきたあたりから興味深くなってくる。

冒頭のダンスがつかみだけかと思ったら結構重要。
いやがる子供を散髪させるときに踊るシーンで爆笑。

アントワーヌのマチルドへの思いはまあ、ひとめぼれといえばそうかもしれないけど、少年時代の思い出と思い込みで「髪結いという職業」&「たぶん見た目がタイプ」だから?そもそもというかアントワーヌが昭和の「ヘンタイ」イメージ。
もしも自分がマチルドだとして、少年時代のシェーファー夫人きっかけでそう思うようになったエピソードを知ってしまったとしたら、「本当に自分のことを愛しているのか、髪結いという職業込みで好きなタイプだから愛しているような気分になっているだけなのか」相当悩むと思う。

マチルドがアントワーヌになぜ惹かれたのかもよくわからないけど運命の恋?
何の仕事をしているかとか一緒になる前に自分のために何をしてくれたかとかはどうでもいいみたい。

マチルドは過去に何があってああいう人になったんだろう。あの感じ、わかるようなわからないような。きっかけはどうあれとても仲が良い夫婦で、せっかく幸せなのに、来るかどうかわからない悲しみよりも死を選ぶなんてもったいないと思ってしまったけど、わからなくもないような気もして何とも言えない。
昔の自分なら、息が詰まりそうな位べったり来られるあの関係に「めっちゃ愛されてる!」って憧れたかもしれないけど、今の自分はあの濃度は少し息苦しさがあるし、前述のような「これは真実の愛なのかどうか」と迷いの迷路に入ってしまいそう。

他にも途中でいろいろ思った気がするけど忘れてしまった。
見終わったら録画を消そうと途中までは思っていたけど、いつかまた見返してみたい気もする。ダンスの効果が大きい気がするけど、普通のようでいてちょっと奇妙な雰囲気。あのダンスって何か意味があるのだろうか。暗喩とか象徴とかよくわからないからわからなかった。

2024-008
20240306
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