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ドライブ・マイ・カーのanonのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
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【追記】
村上春樹さんっぽい雰囲気があり、決して嫌いではないけれど、これはやはり村上春樹さん風味の違う作品だと思う。

【元のレビュー】何と言ったらいいのだろう。いろいろと受賞しているみたいだし、良さがあるのもわかる。けど、けど…という感じ。
私は村上春樹さんの作品が好きなんです。といっても熱心なファンの方には遠く及ばなくて、新作が出たら大抵紙の本を購入するけど、サラっと一読した後は読み返さなくて忘れてしまうことが殆ど、という感じ。気に入った作品があると何度か読み返したりすることはあった(過去形)。

Wikipediaを見るとこの作品は、原作「ドライブ・マイ・カー」が収録された短編集『女のいない男たち』の他の作品やチェーホフの戯曲の台詞なども織り交ぜた新しい物語として構成されているとのことだった。
正直言ってそれはもう村上春樹さん風味の違う作品。

前半は「やっぱり春樹節はセリフとして聞くより読む方がいい」とか「私が日本人でなく、日本語のセリフがよくわからなくて字幕で追うだけだったら違和感は少なかったのかも」ということと、家福夫妻のキャスティングは大正解なのではないかということばかりが頭の中を占めていた。西島秀俊さんに春樹さんの作品の主人公がこんなに似合うなんて想像したことがなかった。霧島れいかさんも春樹さんの作品の主人公の妻っぽい。
家福夫妻の他、三浦透子さんも岡田将生さんも役に合っていたと思う。

予備知識なしで見始めたけど、演劇の本読みなどで棒読みが延々と続いたのが結構しんどくて、春樹節の台詞の違和感をごまかすためなのかなとか想像してみたりもしたが、途中で止めてWikipediaをチラッとだけ見てみたら、先ほど書いた「新しい物語」ということが目に入った。
原作の「ドライブ・マイ・カー」はサラっと一読だけでほとんど記憶になかったのもあり、どうなるかという興味で見進めた。

全体的に見ると面白さはあったし、励まされるようなとてもいい話だとは思うけれど、それが響くかと言うとそうでもなく。外国語混じりの演劇のシーンが多く、セリフに乗せてくるのがしつこいというか、感動を強要されているように感じてしまった。でも手話は結構良かった。あと当然だが車の存在感が良すぎたし、車以外も景色など視覚的には結構良かったと思う。最後が大事だと思うのだけど、個人的にはよろしくなかった。最後がよければもうちょっと印象がよかったかもしれないと思うのだけど。春樹さんのとは別の話だと思えばいいのだろうけど、じゃあタイトルも別にしたらよかったのにとも思ってしまう。原作を読み返してみたらまた何か変わるかもしれないけれど…
煙草をやめてかなり経つけど、煙草を吸う感じがとても懐かしかったし、今は車を持っていないのだけど、車の運転の練習をしたくなった。
脚本については春樹さんの許諾を得ているとwikiに書いてあった。春樹さんがどのような感想を持たれたのか本音を知れたらいいのにと思った。

2024-003
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