Violet

キング・オブ・コメディのVioletのネタバレレビュー・内容・結末

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ジョーカーを見たなら
キング・オブ・コメディを見ると
もっと楽しめるって聞いて見たんだけど
これはほんとにそうだと思った!
終始アーサーを思い出す描写があった。

にしても、パプキン役のロバート・デ・ニーロが、映画ジョーカーで大人気のコメディアン役をやってるというのがなんとも、、、、もともとキングオブコメディを知っていた人からしたら興奮ものですね!笑

パプキンは側から見てるとかなりイタイ勘違い男で、自分の才能を過大評価しているとしか思えないし、大人気コメディアンのジェリーを誘拐してまで舞台に立って一体どうするんだと見ているこっちが恥ずかしくなってしまうほど。
ロバート・デ・ニーロのなんとも不気味で狂気的な笑顔と振る舞いは見ていて不安になる。この男は一体何を考えているんだ?

それが舞台に立ってジョークを始めるとどうだろう。
パプキンが喋るたびに客席は笑いに包まれる。
このシーンを見たときの面白さと安心感と疑ってごめんっていう罪悪感。最高。

誘拐犯になって警察に逮捕されても
一夜だけのスターになりたかった。
そう言ったパプキンは一躍スーパースターとなり、
刑務所で6年間執筆活動に専念し、
その本はベストセラー。
そしてようやく刑務所から出てきたパプキンを待ってましたと出迎えた多くの観客。

ルパート・パプキンはまさに
キング・オブ・コメディ。
彼の暗い人生でさえもすべてを笑いに変えてしまう。
彼は自身の人生すべてをコメディだと思っているのだ。

最後のシーンが現実なのかはたまたパプキンの妄想なのかという議論は今もなお続いてるみたいだけど、わたしは現実のものだと思う、、し、現実であって欲しい。
色々な意見があるとは思うけど、わたしはパプキンは誰よりも夢に執着した才能ある男だったんだと思う。

あとこの映画を見ていて思うのは
この時代の芸能人に対する憧れの凄まじさ。
今はSNSがあって本当に芸能人が身近に感じられる時代になったんだなと時代の流れとともに変化した芸能人のあり方も実感。



ここからはジョーカーのネタバレにも入るけど、、







ルパート・パプキンはもちろん狂った一面を持っているし、贔屓目に見ても世間的には"変人"という部類に入れられるだろう。
そして映画ジョーカーのアーサーと、境遇はかなり似ていた。世間は自分を馬鹿にするし、好きな女性にも振り向いてもらえない、そして、夢はコメディアン。
しかし、パプキンは本当の意味で狂ってはいなかった。それは、彼自身が持っているコメディアンとしての素質が本物だったから。
そして、パプキンの持っていた銃が、偽物だったから。

ジョーカーのアーサーとの違いがここで明らかになる。
コメディアンになりたくても、人と笑いのツボが合わず、自分の笑いを誰もわかってくれない。みんなが面白いもので一緒に笑うことができない。
そして不運にも同僚から本物の銃を渡されてしまったのだ。

パプキンを見ていて、アーサーにも何かひとつ救いになるものがあったならと思わずにはいられなかった。
アーサーは自分ではどうにもできないありとあらゆる不運を背負わされ、悲劇の人生を歩むしかなかったのだ。
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