スガシュウヘイ

アンダーグラウンドのスガシュウヘイのレビュー・感想・評価

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)
3.5
ヒット!
めっちゃオモシロかったです。


舞台はユーゴスラビア。
戦争の映画なのに、
なんだか陽気だし、
思わず笑ってしまうシーンが多数。
地下で祖国のために50年間武器を作りつづけ、
出てきたらもう国はなくなっていた、
という
儚くも斬新なストーリーもよかったです。


共産党員のマルコとクロ。
その両者が恋焦がれる女優のナタリア。
三角関係の主人公3人がとにかく破天荒。


クロの息子、ヨヴァンの結婚式を
抜け出したマルコとナタリア。
喧嘩になって
マルコの上に馬乗りになるナタリア。
自分の履いていたヒールにワインを注ぎ、
マルコに飲ませている。
その現場を目撃したクロ。
「何をしている?」
マルコの返し。
「話をしているんだ」

クロは自分の体にナタリアを縛り付け、
背負い込んだまま会場にもどる。

まわりでは、
ブラスバンドが軽快なジプシー音楽を
弾き続けている。

そうかと思えば
サルが勝手に戦車に乗り込んで、
主砲をぶっ飛ばしてしまう。

結婚式はめちゃくちゃ。
みんなハメ外し過ぎ。


しかし
とてつもなくエネルギーに満ちています。

陽の当らない地下の世界で、
「生きてるぞー」って叫んでいるのが
聞こえてきます。


こんなにエネルギーに満ちた映画は珍しい。
しかもそれが
戦争映画なのだからすごい。


監督のユーゴスラビアへの祖国愛が
感じられる映画でした。


ラストの言葉
“苦痛と悲しみと喜びなしでは、
 子供たちにこう伝えられない。
『むかし、あるところに国があった』、と”

この言葉どおり、
苦痛と悲しみと、そして喜びに満ちた映画でした。


第二次大戦やユーゴ内戦の歴史などは
詳しく知らなくても
十分に楽しめる一本です。


製作:1995年(仏・独・ハンガリー)
監督:エミール・クストリッツァ
出演:ミキ・マイノロヴィッチ、ミリャナ・ヤコヴィッチ、ラザル・リストフスキー