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人情紙風船のhonobonのレビュー・感想・評価

人情紙風船(1937年製作の映画)
3.9
『時代劇が前衛だった』にて鑑賞。

戦時中、若くして亡くなった山中貞雄の遺作として、名画座ではない映画館で見る事ができる嬉しさはこの上ない。

言葉の全ては聞き取れない。でも、モノクロの映像で見えてくる人情劇は豊かでありながら悲しみの詰まったものがある。

長屋を描いた一幕で言えば最近だと『せかいのおきく』を思い出すが、大きく描かれなかった群像さが時代が近いからなのか自然に見えてくる。

一つの視点として『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の半分の時間で描かれるようなタイムパフォーマンスを感じる、なんて思ったら怒られるな。
守ることへの表裏が終盤強烈な印象として残り、ラストの紙風船の映像が脳裏に残る。

煙管の使い方が楽しいと感じられるのは古き日本映画の特徴かな。
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