CHEBUNBUN

イヤー・オブ・ザ・ドラゴンのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

4.2
【アキレスとカメ】
意外と未観だったマイケル・チミノ『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』を観た。これがとても良かった。

白昼堂々と飲食店で白髭のおっさんが殺される。チャイナタウンで殺戮の限りを尽くす男。彼を追い詰めようとミッキー・ローク演じるスタンリーが奮闘する。あまりに堂々と人を殺害するジョーイたち。すぐに捕まるかと思いきやいつもあと一歩のところで捕まらない。そのもどかしさが二時間持続する。チャイナタウンの喧騒に紛れ勢いと群れでのし上がる存在と、孤独で空回りする勢いだけで押し切ろうとする刑事。目標は常に自分の一歩先にあるを体現した構図の中で、一歩一歩地道にヒントを見つけ出し突き進んでいく様子に胸ぐらを掴まれたかのようなものを感じる。やがて、二人は線路で直接対決するのだが、暗闇にライトアップされる一直線のなか走りながら銃を撃ち合う。もう逃げはせんと、正面から戦う姿に感動した。おそらく『シティーハンター』にも本作は影響を与えたのではないだろうか。というよりか、冴羽獠でこのアクションを観たいなと感じたのであった。
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