REIKAZUM

マンハッタン物語のREIKAZUMのネタバレレビュー・内容・結末

マンハッタン物語(1963年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ワンナイトラブで妊娠しちゃったメーシーズのデパガと、売れない演奏家の相手の男とが結ばれるまでをコメディタッチに描いた作品。
望まぬ妊娠から始まっているのでまあ悲劇ではあるのだが、これもチャップリンの名言「悲劇は遠くで見れば喜劇」的な流れで話は進んでいく。

この手の笑えない喜劇、「アパートの鍵貸します」なんかも似たところがあると思うが、あまりに話がシンプル過ぎて最近では絶滅したストーリーではある。
決して共感できなくなったわけではないが、現実にうじゃうじゃしている話を観るためにわざわざ映画館に足を運ぶ人はもういないのだろうな。
テレビドラマでも伏線で利用されるのが精々といったところではないかと。
生、性、欲、死。
人間の悩みは変わらずシンプルなところにあると思うけれども。(というかそこから逃れることはできない)

ナタリーウッドとスティーブマックイーンのラブコメだから★4。
キャストありきではあるけれど、ストーリーも飽きさせない工夫はちゃんとできていて、長すぎずコンパクトできれいにまとまっている。
兄弟や母から干渉されるのが嫌なくせに一人になれない共依存的な女は、お金もそんなにない(しかも妊娠している)はずなのに、なぜかちゃっかり一人で暮らしを始めているところなど、ツッコミどころは満載だけどそこもまたいいかな。

ラストシーン、メイシーズの前で「死ぬよりは結婚する方がまし」と書いた看板を手にした男が彼女の前に現れるシーンもありがちなのだが、無骨な男の精一杯の愛情表現というところ。かわいいスティーブマックイーンがマル。
そこで二人がキスしてエンドとなるのだが、ここに映る通行人はほとんどが天国にいっちゃってるんだろうなと。
人って儚い。
愛も生も……。
良作。
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