このレビューはネタバレを含みます
ヴィスコンティ監督の最後の作品。
20世紀初頭のイタリア貴族のある夫婦の愛憎劇を描いたもので、人間の本質を問う内容だった。
ラウラ・アントネッリの官能的な美しさ。
ヴィスコンティ監督が彼女の美しさをまさにヴィーナスと褒めたそうだが、彫刻のようだった。
冷めきっていた夫婦関係のはずなのに、妻に愛人がいると知るとメラメラと嫉妬心が燃える夫。
最初はなんて身勝手なんだと思うけれど、本当の愛に気づくのが遅かっただけなのかもしれない。
嫉妬に狂い愛から見放された彼がイノセントな存在である子供を死なせてしまったことで、罪悪感も抱いていたはずである。
一方妻は夫へ申し訳ないという思いがあったはずなのに、子供を失ったことで夫への憎しみは確固たるものになってしまったのである…。
妻と夫の思いが交差しない切なさにムズムズし、ラストには夫は自分のしてしまったことに耐えきれず、死を選んでしまったのは当然の結果だったのかもしれない。
個人的にはもう少し妻と愛人の絡みを見たかった。