YAZ

女は二度生まれるのYAZのレビュー・感想・評価

女は二度生まれる(1961年製作の映画)
4.0
川島雄三と若尾文子の観る

「雁の寺」「しとやかな獣」
へと続くコンビ1本目

客から頼まれれば躊躇なく体
売る芸なし芸者小えんの物語
原作タイトルは「小えん日記」
だそうですが映画もすっきりと
「小えん」にして欲しかったな〜

時代からも赤線地帯からの流れで芸者に
なったかと思わせる小えんの無節操な
男関係が続くがある男性との出会いで
彼女自身も想像してなかっただろう変化
が心の中に生れ物語も思わぬ方向へ

芸の一つも出来ない女を一人前の女性に
育てようとする初老の紳士。
男性目線の夢物語に十二分に応える若尾
文子の変貌ぶりはなかなか良いです

彼女の映画そこまで多くは観てないけど
自己中的な「したたかさ」が好きですが
本作はそれに加えて他を思いやる心に目
覚める小えん。
おそらく初老紳士の彼女への真摯な思い
が今まで経験したことのないもので最初
は戸惑いながらも応えようとしたのでは
ないでしょうかね

思わぬ方向の物語は終盤に向かい不穏な
空気が流れ危うい気配が。
ラストの解釈は様々でしょうが川島若尾
コンビ作「しとやかな獣」の虚しさに
どこか通じるものも

彼女が関係を持つ男の一人に17歳の
少年も。最初は女として二度目は母とし
て。好きなタイトルではないけど女と母
ならば腑に落ちるかも
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