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フェリーニのローマのleylaのレビュー・感想・評価

フェリーニのローマ(1972年製作の映画)
4.4
フェリーニのローマ愛。人間愛。

ストーリーは特になく、フェリーニ自身の子供時代の記憶や鮮烈なイメージのみで綴っていくローマの街並と人々の喧騒。古き良きローマを偲び、失っていく過去の面影を惜しむかのような、フェリーニによるローマの“記憶の記録”。ブルジョワやカトリックへの風刺などもこめられてます。フェリーニもちょこっと出てました。自分の若い頃をイケメン俳優に委ねている。笑

フェリーニ幼少期の30年代と青年期と現代の70年代が描かれる。当時を再現した街の広場とカフェ、ボードビル小屋の大衆演劇で騒ぐ客たち、娼婦の館のエネルギッシュな女性たち、バチカンでのファッションショーの俗悪であっぱれな美術、フェリーニ自身の撮影風景、雨の高速道路、地下鉄の掘削工事で消えるフレスコ画、ヒッピーたち、ラストの集団バイクで駆け抜ける夜のローマ…

圧倒的な映像の洪水。フェリーニ作品で欠かせない市井の人々の個性的な顔とエネルギー。そして、ニーノ・ロータの音楽。「あんたを信頼してないの」と監督にさらりと言うローマのシンボル、アンナ・マニャーニのワンショットもあり。

「腐ったのはローマではない 人間だ」
今作から50年後の現在、フェリーニが生きていたら今の地球をどう思ったのだろう。

映画にストーリーがなくてもこんなに面白いって証明してくれるフェリーニ・マジック⭐︎

特に映画好きではないダンナのイチオシで、いろいろ語られたら面倒だからあえて避けてたけど早く観ればよかった。

フェリーニファンじゃない人にはオススメしにくいけど、予告編はオススメしたい。映像が最高〜
https://youtu.be/K-83XJB9mr0
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