tacky

悪名のtackyのレビュー・感想・評価

悪名(1961年製作の映画)
4.0
勝新太郎が、キャラたちまくりの八尾の朝吉を嬉々として演じている。
喧嘩は強いが素手ゴロしかしない、酒は飲めないが漢気があって、曲がったことが大嫌いで、群れに属さない一匹狼である。しかもヤクザが大嫌いである。
そして女にモテる。その為騒動に巻き込まれるが、危険を顧みないので、どんどん深みにハマっていく。

田宮二郎演ずるモートルの貞は、組織に入っていたが、ギラギラと熱い任侠魂のある男で、朝吉の漢気に惚れて行動を共にする。後の名コンビ誕生である。

たった二人で、薄幸の娼婦の足抜きの為、因島の大親分と対決するのだが‥最後まで目が離せない作品であった。

後に人気シリーズとして、15本も作られる作品の第一作で、脚本に依田義賢、撮影に宮川一夫といった溝口組を起用、どことなく文芸作品の味わいがあるのは、その為かもしれない。
ドスによる殺し合いを否定して、殴り合いだけを観せる演出は素晴らしい。日本版バディものの代表作である。

後に貞吉から弟の清次にパートナーが代わるが(これも田宮二郎が演じた。)、そこでの名言「梅にウグイス、松に鶴、萩にイノシシ、牡丹に蝶々、朝吉に清次。」がうまれるのだ。

この頃の大映の任侠路線は、「女賭博師」シリーズなど、東映のいかにも勧善懲悪している物語と違い、一捻りしていて、とても素晴らしい作品が多かった。
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