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テルマ&ルイーズのluのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
5.0
※2018/5/29 備忘記録

ずっとずっと温めておいた作品。
事実や立場がどうだろうと、テルマとルイーズには関係のないこと。お互いに鼓舞し合いながら信じた道を突き進む2人に、胸が痛み、心が張り裂けそうだった。
最後まで愛を分かち合って、痛いほど精一杯生きた2人を、私も愛する。

⚠️セリフバレ有り
テルマとルイーズは本当にごく普通の女性、“生活”がある人間だった。それぞれ悩みを抱えてはいても、ただただ生きることの幸せは知っていた。だからこそ、想像もしなかった不安や恐怖に怯えながら、「生きるためなら」と立ち続けた。

だけど、ルイーズが刑事に「生きていたいだろ?」と聞かれて、「生きていたいと思う?」と返したこと。
その後、ルイーズがテルマに「生きていたいか死にたいか決めろって」と話した時、テルマが「いい話は一つもないの?」と返したこと。
捕まりたくは無くても、“勿論生きていたい”とは思わない。でも“死にたい”わけでもない。話し合わずとも、2人の考えることは一致してる。もうこの2人にとっては、“生きるか死ぬか”なんて選ぶものじゃなかった。だけど、「今生きるため」に、テルマとルイーズはひた走った。

最後の選択は、元の2人の絆でも選ばれただろうか?2人ではなく、1人だったらどんな選択をしただろうか?2人だけでいて、孤独を感じなかったからこその選択。2人は友であり、恋人。女と女だから、あそこまで強くなれたし、自分を知れたのだとも思う。
2人だから、こうなってしまった。2人じゃなかったら、こうはならなかった。そこが歯痒くて、でも残酷に美しくて、愛しい。

この映画、衣装や音楽もお洒落で最高だった。ヒロイン2人が荒野での映え方が半端ない。デザインだけじゃなく“服の着こなし”が抜群にお洒落。
無駄を省いていく服、乱れていく髪、化粧を直さないまま素顔に戻っていく顔、全てが美しくて、格好良くて、心が裸になっていってる様に思えた。

先が見えず戸惑う2人の姿があまりにリアルで、感情移入さえしてしまった。ラストにかけては本当に胸が痛くて、でも2人の絆に安心して……。互いに顔を向かい合わせるシーンは一度見たら脳裏に焼き付いて、離れない。全てを語っているし、胸が掻き乱される。

何より主演お2人の演技が素晴らしく、何もかもが切実に感じた。幼げなテルマの変貌ともいえる表情の変化。したたかなルイーズの切なくも見据えた目。全てが、彼女たちを輝かせるもの。
観るたびに好きが更新される映画です。傑作。
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