湯林檎

きみに読む物語の湯林檎のレビュー・感想・評価

きみに読む物語(2004年製作の映画)
4.5
恋愛物は決して嫌いじゃないしむしろ好きな部類のジャンルだけど、あまりにも王道過ぎて外していた1本。
個人的には想像を超えて良い映画だった。

身分格差の恋、お金持ちで男前な恋敵、生涯添い遂げる愛とラブロマンス作品の必須項目がもれなく揃った恋愛映画の教科書みたいな作品。それだけにどうしてもベタでどこかで見たような展開があったり細かい部分でツッコミ所があったりもした。しかし、登場人物が良い感じにダメな部分がきちんと描かれていたり老後のアリーの認知症の様子をリアルに描いていたせいか不思議と浮世離れした恋愛物語には感じなかった。


⚠️ここから先はネタバレを含みますので未鑑賞の人は注意してください


ノアの能天気さ(観覧車に無理やりよじ登る、交差点で寝っ転がる、走行中のバスのドアを無理やり開けて降りるetc…)には呆れてしまう部分もあるけど、アリーと一回別れてから戦場に行ったり農場を改築して大人の男性として成長した様子が良かったと思う。特に車の前でアリーにロイと自分どちらを選ぶか迫るシーンでは"30年後、40年後、一緒にいるのは誰か?"という言葉には思わずハッとさせられた。ある意味無鉄砲だからこそ愛に対して純粋に向き合えているのだろうと思えた。それも彼がホイットマンなどの詩を愛読しているという設定のお陰で叙情的な台詞も取ってつけたようには感じないと思った。
アリーは富裕層のお嬢様ながらおてんばで自由な性格だったりするところが親近感を持てた。そういった面が自分に素直に生きるノアと共通していたのだ思う。
恋敵のロイは分かりやすく恋敵(笑)。資産や外見は置いといて少なくとも自分のタイプではないw

それから何よりも湖で2人でカヌーを漕いでいるシーンは圧巻された。白い渡り鳥(鳥に詳しくないので種類は不明)が水面に集まり、やがて嵐が来て引き上げてノアがアリーにキスをして抱きしめる流れはビジュアル的にも非常に美しく最高にロマンチックだった💞

そして2人が永遠の眠りについて渡り鳥の映像に切り替わる演出も昇天のシーンとしてお見事!
実際こんな風に夫婦同時に息を引き取るなんてことあるんかい!って思ったけどそこは映画なので妥協することにするw


何度も言うようにシーンの所々で突っ込みを入れたくなったしノアとアリーが自分の中で好きなタイプの主人公かと言われるとそうでもない。だけど間違いなく自分の守備範囲に留めておきたい作品の1つ。
湯林檎

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