映画記録

ゆきゆきて、神軍の映画記録のレビュー・感想・評価

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)
5.0
第一級のドキュメンタリー。
何が奥崎謙三を駆り立てるのか。
無謀な戦争で生きるため人間性を捨て生きのびた者たちは戦後沈黙を守る。最高司令官であったヒロヒトを糾弾しパチンコ玉を撃って服役。
終戦から何日も経って戦犯として銃殺された兵士2名の家族とともに、部隊で生き残り銃殺に関わった者たちを訪問し問い詰める。
このドキュメンタリーのすごいところは奥崎の激高も、問い詰める相手のこともリアルに映写していて手に汗握る。訪問を重ねるうちに、真実を語るもの、嘘を続ける者、それぞれが変わりはじめ懊悩の表情を見せ、語ったあとにホッとした表情を見せる。
黒豚(現地人)白豚(白人)、戦友を豚として食べていた事実。最終局面では生き残るため、弱い地位の兵隊を銃殺して食べてしまったという事実。
対面の場面での双方の表情から事実であると確信できる。
多くの元日本兵は、やましき沈黙を続け高度成長を生きのびた。歴史修正主義を唱える者たちにぜひ見てほしい。
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