拘泥

ホーリー・マウンテンの拘泥のネタバレレビュー・内容・結末

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

これがデビューでありエンドレスポエトリーまで観た今眼差しはまた違って非常な切なさと乾きがみえるけど初めてみた時の反応は新鮮なので残しておく。
難解映画として扱わなければならないなら、ホント詳細に分かれなくてごめんなさいって感じですが、そうじゃなく扱っていいのなら、もうとんでもない気持ちにさせていただけて、ホドロフスキーデビュー大成功である。ありがとう。

超超悪趣味を隠そうともせず皮肉と共にバンバン垂れ流されるキ◯ガイシュルレアリスムの超絶なバカ映像に、映画の真ん中ら辺からはもはや恋のような胸のときめきを感じっぱなしであった。
本編開始ボタンを押したら間髪入れず始まる服飾された女の出家なんていう初っ端から、善と純粋の象徴として扱われたりな四肢の不自由な方の使い方やらキリスト大安売りやらカエルのメキシコ侵略大爆破やら金に釣られる(文字通り!)愚かもんのキリストやらうんこやら、最初の三十分だけでももうなんやらかんやら数え切れないほどのクソ最悪だったり意味の分からなかったりする素晴らしいシーンでパンパンである。
無学な自分には一部はこうかなと考えられても全てが何がどうとはわからない、だがとにかく何かが起こっているのはわかる!
インスタグラマーどもがこんな時代から!

ほんで7人の権力者のエピソード、もう酷い、最悪過ぎる。マジでクソだしアホ過ぎ。とにかくおもしろいとこが多すぎて書き尽くせない。
最高のワンシーンを選ぶならやはりマシーンヴァギナだろうか!
なんて素敵な無機物の受精と出産!現在恋愛は実現しそうなもんである。
そして一人選ぶとすればファシスト警視総監のところか、あのクソでかいアホな銃からバカ笑い。
俺は警視総監だ、って言ってなかったらあの映像で誰も警視総監だと思わねえよ笑

ここがだるいと言う人もいるようだが、個人的にはむしろここが一番面白かった。
この辺で、この映画をだいぶ身構えて見始めた自分に違和感を感じ、ホドロフスキーってめちゃくちゃふざけた人なんじゃねえか?って思い始める。
それとも、その悪趣味の咎を背負ってでも伝えたかったなにかがあったのだろうか。
理解できてないので分からない。

さあそしてホーリーマウンテンを目指して修行して登り始めるみたいなんですが、まあ詳しい話は説明できません。
崖に大陰唇を擦り付けろ!とかもう、ホント、バカ野郎。意味わかんねえよ笑
チーターおっぱいババジジイ、なんだお前意味わかんねえ笑
でも、最初から意味わかんなかったんだから急に分かるわけがねえ!

で、ついにラスト。愚かもんのキリストは女と下山、ほんで残った奴らが頂上で集まったら急に、はい、これは映画でーす。聖なる山とか言ってないで現実見ろよ!!
なんじゃそりゃ!!!!こんなロクでもない世界!!
徹頭徹尾ぶち転がされきってもう何が何だか。でもこのラストに従うなら、映画にはなんの現実もないってことだとすれば、うーん。まあこの映画極めてバカだし現実でも何でもないのは確かだよ。
うんこでも黄金になれるのだから、お前だって黄金になれるって錬金術師、ホドロフスキー自身のセリフが木霊する。でもホドロフスキー自身が黄金にはなれない。

そしてその後は音声解説も絶対にみなければならないだろう。訳の分からなかった比喩をたくさんお話ししてもらえる上に様々な裏話、考えていたことが述べられている。でもこれまで書いてたらキリがないので割愛。
本当にとんでもないことがサラッと述べられている。
音声解説を見ることで点が増えて人生の上位ムービーにさらに躍り出た。落ち着いた時期が来てから再び見たら多分また上がるだろう。
一回の鑑賞で感じた2倍はヤバい映画だったみたいだ。撮影の合間にも二転三転して、導かれるようにこの作品ができたのだなと思った。

特典映像にもでてきた現実のダンスというセリフ。さ、次はリアリティのダンスを見よう。エルトポもサンタサングレもどうにか見なければならない…
拘泥

拘泥