すずき

ホーリー・マウンテンのすずきのレビュー・感想・評価

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)
3.9
現代のメキシコによく似た街。
男は金を奪おうと、錬金術師の住む塔へとやって来たが、人糞を黄金に変える奇跡を見た彼は弟子入りを決意。
男の前にも錬金術師に弟子入りした7人の男女がいた。
彼らは皆、社会的地位のある者ばかりで、人一倍欲にまみれていた俗人達だ。
錬金術師と彼らは、9人の賢者から不老不死の秘術を奪う為、賢者の住まう「ホーリーマウンテン」を目指す…

「エル・トポ」のアレハンドロ・ホドロフスキー監督の作品。
「エル・トポ」以上に宗教的な意味合いが強く、カルト宗教チックだ。
錬金術師を自ら演じる尊師・ホドロフスキーが説くは、生と死と神と人と、映画と現実。
正直言葉の意味はよく分からんが、兎に角凄い映像だ!圧倒的なビジュアルインパクトで見た者に神秘を体験させる、映像曼荼羅といえる映画。
そこに描かれる物に、もう意味合いやメタファーを考えるのも野暮かもしれない。

一応ストーリーはあるけども、前半はほとんど語られない。
主人公は何者か、目的も考えも不明。
かと思えば他の弟子達のバックストーリーは丁寧に描写し、かなりの尺を取っている。
後半2/3あたりで、ようやくホーリーマウンテンを目指す、という目的に向けて動くが、ラストはそれまでの伏線をぶん投げるような、とんでもないオチ。今となっては類似したオチの作品もあるだろうから、まだ受け入れられるだろうけど、当時は斬新すぎたかも?
物語としてはメチャクチャなので、ストーリーを楽しみたい、という人には向かない。