MikiMickle

ホーリー・マウンテンのMikiMickleのレビュー・感想・評価

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)
5.0
カルト映画界の巨匠アレハンドロ・ホドロフスキーの1973年の作品。

冒頭。幾何学模様の部屋に二人のモンロー。
黒い服の男が彼女たちを坊主にして素っ裸にする。

次のシーンでは顔がハエだらけの男。死んでいるのかと思いきや、尿をもらし、裸の子供たちに十字架に張り付けにされる。
この、キリスト風の泥棒男が主人公。
彼は手足のない小男とともに町をぶらつく。

銃で処刑される人々。カラフルな血。それを笑いながら撮影する観光客。

その後色々あって、ホドロフスキー演じる錬金術師(すごいものを金に変えるよw)と出会い、
実業家や政治家ら男女8人と共に、不老不死を得る為にホーリーマウンテンへと向かう。
金、自己の意識、欲を捨て…
それは苛酷な旅だった。


というストーリーなんだけど、

とにかく、奇妙で、圧倒的で、シュールで、破壊的で、芸術的で、驚異な映像の嵐‼
元舞台演出家だったため、すべての映像が絵的であり迫力と異様な美しさがある。すごい迫力。

しかしそれだけではなく、一見して訳のわからないシーンの数々になにかしらの意味がある。

前半の「ヒキガエルとカメレオンのサーカス団」ではメキシコの歴史をあらわし、
街やその政治家たちのエピソードでは軍治政権を批判している。

してるけど、このエピソードが面白い(笑) 女道化師はオモチャ工場の社長で15年後におこる戦争の為に子供にチリ人を殺 す事を刷り込んでいたり、アーティストの作ったものはエロ丸出しだし、警察署長は少年の睾丸を1000個集めてたりとか、まぁ、笑っちゃう。
血をカラフルにしたり果物みたいなのにしたり傷から鳥でたりも良いなぁ♪
あと、やっぱり小人がたくさん。彼は小人を美しんでいます。

エロとグロと魂と宗教と精神と惨殺と血と自己解放の、なんかすごい脳内ドラッグ前衛芸術映画。

人は何を求めるべきなのか……

ラストにまじのまじでちゃぶ台返し!どーーーん‼
大爆笑。とても チャーミング
こんなラスト、普通じゃ許されない



余談。出演者にマジック マッシュルームさせて演技させたそうな。
ジョージ・ハリスンが主人公役したがったが、黄門様洗われるシーンが嫌でやめたそうな。 そりゃそうだw


余談2。ホドロフスキーは哲学者のグルジェフから影響をうけていて、そのエニアグラフっていう、人を9つのタイプにわけるっていう思想をもとに、役者を数ヵ月隔離して役作りさせた。山に行くのも9人だし。サイコマジックの心理療法もみてとれた。
MikiMickle

MikiMickle